循環器内科
循環器内科の特徴
- 特徴
当院の循環器内科では,常勤の医師は日本循環器学会専門医,日本内科学会総合内科専門医・指導医,医学博士号の資格を全員が取得しており,また医師それぞれがサブスペシャリティを持ち,日本循環器学会診療ガイドラインに沿った標準的な循環器診療を行っております.
一方で,我が国では超高齢化社会を迎え,医療はるのを防ぐ取り組みを早,退院のみを目標としていた時代は過ぎ,患者さん一人ひとりのニーズや人生観をもとにしたオーダーメード医療も望まれています.当科では医師,看護師を始め,薬剤師,管理栄養士,理学療法士,臨床工学士,心不全緩和診療チームが密接にチームとして連携し,患者さんやご家族との対話を大切にしながら,ご希望に沿った安心・信頼のできる医療提供を心がけております.
主な疾患
心不全,虚血性心疾患(狭心症,心筋梗塞),不整脈,心臓弁膜症,心筋症,心筋炎,下肢閉塞性動脈硬化症,静脈血栓塞栓症,高血圧症,生活習慣病全般
アピールポイント
入院後は原疾患の治療と並行して,多職種が協力して患者さんの認知機能や嚥下機能,歩行機能といった全身状態が入院により低下するのを防ぐ取り組みを早期より行います.
検査
- 心電図(数分)
- 心臓のスクリーニング検査に用います.
- 心臓超音波検査(約15分)
- 心臓の動きや大きさ,弁機能などを動画で確認します.心筋梗塞,弁膜症,心筋症などの発見に力を発揮します.
- ホルダー心電図(24時間)
- 携帯用の小型心電計を装着して24時間かけて心臓の状態を記録して解析を行います.検査中は通常通りの日常生活をしていただき,心電図に異常がないかを検査します.通常の心電図検査で見つけられなかった不整脈や狭心症の発見に役立ちます.
- API (数分)
- 動脈硬化や狭窄の程度を評価する検査です.ベッドに仰向けに寝ていただき,両側の腕と足首の血圧を同時に測定します.動脈に狭窄や閉塞があるとその部分の血圧は低下するため,動脈硬化や狭窄の程度がわかります.
- トレッドミル運動負荷試験(約20分)
- 心臓に少し強めの運動負荷をかけることによって心臓の機能や運動耐容能を調べる検査です.検査には循環器の医師が必ず立ち合い,ベルトコンベヤの上を歩行していただきます.最初はゆっくりと歩行ですが,徐々に速度と傾斜がきつくなります.患者さんの体力に合わせた範囲内で行います.
- 冠動脈CT検査(約30分)
- 冠動脈は心臓を栄養や酸素を送るための大切な動脈です.この冠動脈の狭窄や閉塞の有無について評価するためのCT検査です.上肢に点滴を入れて造影剤を投与しながら冠動脈を撮影します.完全予約制となりますが,外来で行うことができる検査です.
- 心臓カテーテル検査(約1時間)
- 冠動脈の狭窄や閉塞の有無を評価する入院による検査です.局所麻酔を使用し,手首または大腿の動脈から長い管状の道具(心臓カテーテル)を冠動脈まで挿入します.造影剤を流しながら撮影し,冠動脈の状態を評価します.安全のため,通常2泊3日の入院になります.
- 埋め込み型心電計「RevealLINQ (Medtronic社製)」 (約1時間)
- 心電図検査やホルダー心電図では診断できなかった不整脈の検出に優れます.「RevealLINQ (Medtronic社製)」は,胸部皮下に挿入し,最長3年間の持続的な心電図モニタリングが可能な植込み型心電計です.失神が起きた際の心電図を後から調べることや,意識消失につながる危険な不整脈を機械が自動的に記録することができます.また脳梗塞の原因となる不整脈(心房細動)を早期に診断し,再発防止につながる可能性があります.安全のため,通常1泊2日の入院になります.
治療
- 心臓カテーテル治療(経皮的冠動脈形成術)
- 虚血性心疾患(狭心症,心筋梗塞)に対する心臓カテーテルを用いた治療です.局所麻酔を使用し,手首または大腿の動脈から心臓カテーテルを冠動脈まで挿入し,さらに冠動脈ワイヤーを介して狭窄や閉塞した部位に対して血管の内側からバルーンで拡張したり,金属製のステントを留置して,血流を回復させます.治療にかかる時間は,患者さんの病状や狭窄の程度によって異なりますが,約1-2時間です.安全のため,通常3泊4日の入院になります.
- 人工ペースメーカ植え込み
- 脈が遅くなる不整脈(徐脈性不整脈:洞機能不全症候群,房室ブロック,徐脈性心房細動など)に対して人工ペースメーカを植込む治療です.局所麻酔を使用し,鎖骨下を約5cmほど切開し,皮下にペースメーカの機械を植え込みます.鎖骨下静脈を介して電極ワイヤーの先端を心臓へ挿入し,もう一方をペースメーカと接続します.脈が遅い場合には人工ペースメーカから心臓へ電気刺激が送られ,適正な心拍数を維持します.治療にかかる時間は約1.2時間です.安全のため,通常1週間程度の入院になります.
- 心臓カテーテルアブレーション(電気的心筋焼灼術)
- 細くて長い管状の道具(カテーテル)を足の付け根や首から数本挿入し,血管の中を通して心臓の中に留置します.カテーテルの先には心電図を計測するための電極がついていて,その記録をもとに不整脈の原因となっている心臓の部分を同定します.次に治療用のカテーテルを原因部位に接触させ,カテーテルの先端から高周波電流を流して,不整脈が発生しないように治療します.治療にかかる時間は,患者さんの病状や不整脈の種類によって異なりますが,約2.3時間です.安全のため,通常3泊4日の入院になります.
- 心臓リハビリテーション
- 心臓リハビリテーションは,心臓病で入院中の患者さんが体力を回復し自信を取り戻し,快適な家庭生活や社会生活に復帰するとともに,再発や再入院を防止することをめざしておこなう総合的活動プログラムです.心臓病では,心臓の働きが低下し,また安静生活を続けたことにより運動能力や身体調節の働きも低下しています.そのため退院してからすぐには強い活動はできませんし,どの程度活動しても大丈夫なのかが分からず不安もあります.当科では,患者さん一人ひとりの状態に応じて退院に向けたプログラムを提案し,心臓リハビリテーション指導士の医師のもと,専属の理学療法士により個別に心臓リハビリテーションを実施しています.
ワンポイントアピール
- ※当院の循環器内科は迅速な診断と適切な治療を行います.
- ※「病院最前線2014(患者目線の病院選び)」(発行所・毎日新聞社)の雑誌で「心臓・血管の病気」部門で東京都内45病院の中に紹介されました.
虚血性心疾患等は素早く診断し的確な治療を早期に行うことが必要です.ともすれば大きな病院のように一カ月以上先の予約検査では治療のタイミングを逸してしまうかもしれません.当院では64列CTと最先端の画像処理にて立体的CT冠動脈造影検査を待つことなく早期に検査され,その結果で必要時には速やかに心臓カテーテル治療が行われています.また,当院では非侵襲的なラジオアイソトープを用いた負荷心筋シンチグラフィー等の検査も行う事が出来ます.
下肢閉塞性動脈硬化症の自覚症状である間欠性跛行(歩行時下肢痛)は腰椎の異常による整形外科的疾患と鑑別が困難な動脈硬化性疾患です.当科では整形外科と協力して閉塞性動脈硬化症(ASO)外来にて診療を行っています.その他に,ペースメーカー(MR検査対応型)埋め込み術,専門医による心エコー―検査なども行っています.